紫外線でできること
固める
Curing
UV硬化(紫外線硬化:UV curing)とは、紫外線硬化樹脂などへ、紫外線を照射することで重合反応が起こり、液体から固体となるプロセスや方法です。
UV硬化は、シールやラベルなどの印刷分野から実用化がはじまり、半導体分野、エレクトロニクス分野、自動車分野まであらゆる製造分野で用いられています。近年では、太陽電池分野やナノテク分野などの新しい分野にも用途は拡がっています。
UV硬化装置の基本構成
紫外線硬化装置の基本構成は、紫外線ランプ・照射器・電源・冷却機器から構成されています。
目的や用途、生産条件によっては、搬送装置やバッチ処理用の遮光ボックスなどを組み合わせて構成する場合があります。
ランプの波長
紫外線硬化に使用される紫外線ランプは、大きく分けて高圧水銀ランプとメタルハライドランプの2種類があります。硬化させる樹脂や塗料、接着剤の特性に合った紫外線の波長を選びます。
ランプ出力
紫外線ランプの能力の大きさは、ランプ出力と呼ばれる総入力(W)を発光長(cm)で割ったW/cmという単位で表すことができます。ワークの耐性、設置スペース、樹脂や塗料の特性などからランプ出力を選びます。出力の小さいランプの方がワークへの熱影響は小さいですが、設置スペースは大きくなります。
ランプ出力(W/cm) | 50 | 80 | 120 | 160 | 240 | |
発光長 (cm) |
80 | 400W | ||||
120 | 1Kw | 1.5Kw | 3Kw | |||
180 | 3Kw | |||||
250 | 3Kw | 4Kw | 6Kw | |||
375 | 3Kw | 6Kw | ||||
500 | 4Kw | 6Kw | ||||
250 | 6Kw |
ランプ発光長
ランプを搬送方向に対して平行に設置する場合、有効照射幅は50mmが基準となります。ランプを直角方向に設置する場合は、ランプの両端部は紫外線照度が低下しますので、ワークサイズより10%以上長い発光長のランプをご選定ください。ただし、照射距離によって照度分布が異なりますので必要な照度が得られているか確認が必要です。
ランプミラー形状
照射器の内部には、紫外線を効率よく反射させるためにランプミラーが搭載されています。ランプミラーは、形状により配光特性を変えることができます。ランプミラーの形状は、照度の強い紫外線を集光点で照射ができる集光形と広い範囲を比較的均一に照射ができる拡散形があります。形状は、ワークの形状や耐熱性、照射エリアなどから選択します。一般的にはワークを搬送しながら硬化する場合は集光形ミラーを使用し、バッチ処理の場合は拡散形ミラーを使用します。
冷却システム
紫外線硬化に用いる紫外線ランプのエネルギー配分は、右図のような構成になります。大部分のエネルギーが、硬化に寄与しない熱が放射されています。熱は光重合反応を促進させる働きもありますが、ワークに熱ダメージも与えます。硬化に寄与しない熱を除くことで、ワークの温度上昇を抑えることが可能となり、熱に弱い素材への硬化用途が広がります。
アルミミラー
反射効率の高いアルミ製のミラーで、紫外線(UV)および可視光(VR)、赤外線(IR)などの熱線を効率よく反射させます。温度影響の小さいワークに適しています。
コールドミラーは、ガラス成形板に金属化合物を薄膜を蒸着させたミラーです。紫外線を効率よく反射させ、硬化に寄与しない一部の可視光と赤外線を透過します。温度低減の必要な照射物に適しています。
硬化に寄与しない一部の可視光と赤外線を反射させ、必要な紫外線を透過させる特性を持っているフィルターを照射器下面に設置し、ワークの温度上昇を抑制します。
コールドミラー+IRカットフィルタ―+冷風
硬化に寄与しない一部の可視光と赤外線を反射させ、必要な紫外線を透過させる特性を持っているフィルターを照射器下面に設置し、ワークの温度上昇を抑制します。
シャッター機構
シャッター機構は、紫外線硬化システムの構成上、ラインを停止した時の紫外線によるワーク焼損防止や、照射面部の過熱防止などの目的をもっており、紫外線ランプからの放射を遮断する機構です。また、高圧水銀ランプやメタルハライドランプは、一旦消灯すると再点灯までに時間を要するため、作業性や生産性への影響を妨げないためにシャッター機構を設ける目的もあります。
安定器と制御回路からなり、ランプの点灯、消灯、調光、シャッター、冷却装置、その他の関連機器の制御を行います。安定器は、紫外線ランプを点灯させるためには必ず必要で、原則的にはランプ1本に対し1台の安定器が使用されます。電源装置には、トランスタイプ(銅鉄式)とインバータータイプ(電子式)があります。
ランプの温度を一定に保ち安定して点灯させる目的と、照射器本体の温度上昇を抑えるための装置です。送風機を使用し排熱するため、コストが安くメンテナンスも簡単です。一般的にはこの方式が使用されています。