紫外線でできること
洗浄と改質
紫外線による洗浄・改質(UV cleaning & modifying)は、低圧水銀ランプから発光する短波長紫外線の持つエネルギーとそれにより発生するオゾン(O3)の力で、素材表面の有機系皮膜除去やプラスチック表面の親水化による密着力・接着力を向上させる洗浄表面改質方法の一つです。
UV洗浄・改質のメリット
About Cleaning&Modifying
大気中での処理が可能
真空チャンバーやポンプなどの高額な真空設備が不要で、大気中でのUV照射が可能な環境にやさしい洗浄・改質技術です。
ダメージレス
近年、プリント基板や電子部品では高周波・高密度化に伴い低誘電絶縁材料や導体回路表面の平坦化が求められています。一般的に樹脂材料へめっきを施すプロセスでは、化学薬品などの腐食作用を応用して、樹脂などの表面を粗化することで密着性を向上させるエッチング処理が主流です。しかし、表面の凹凸による信号遅延や化学薬品による環境負荷などの問題があり、樹脂エッチングの代替技術として紫外線による洗浄・改質技術は製品表面を粗化せずに、表面の平坦を維持しながら洗浄・改質を行うとことができます。
様々な形状、大きさに対応
UV洗浄・改質で使用する低圧水銀ランプは、自由に形状の加工が可能なため様々な形状や大きさの製品に対応できます。
UV洗浄・改質で使用する紫外線ランプ
About Cleaning&Modifying
低圧水銀ランプ
紫外線による洗浄・改質には、一般的に純度の高い合成石英製の低圧水銀ランプを使用します。低圧水銀ランプから出ている主波長は、185nmと254nmです。波長は、短ければ短いほどエネルギーは高く、185nmは大半の有機物の分子結合を切断するエネルギーを持っています。この波長が持つエネルギーで洗浄・改質を行います。
UV洗浄・改質のメカニズム
About Cleaning&Modifying
UV洗浄のメカニズム
紫外線波長185nmが大気中の酸素(O2)に照射されると、オゾン(O3)を 生成します。このオゾンに紫外線波長254nmが吸収されると、オゾンは分解されて励起状態の活性酸素(O)を作り出します。活性酸素は強力な酸化力を持っており、紫外線のエネルギーによって切断された有機汚染質(C)と化学的に結合し、二酸化炭素や水などの揮発性物質に分解反応させて除去します。
UV改質のメカニズム
活性酸素(O)は、紫外線によって基板表面層の分子鎖を切断された分子と反応して、表面に新たな官能基(OH、CHO、COOHなど)を形成します。これら官能基は親水性が高く、塗料・接着剤・コーティング剤などと相性が良いため、接着性を飛躍的に改善・向上させます。洗浄と改質のメカニズムは異なりますが、どちらも親水化、ぬれ性改善、接着性向上などの効果は同じです。各種素材表面の特性によって、洗浄と改質の作用は異なります。